尿漏れの悩み解決〜切迫性尿失禁の対処法part 3〜

こんにちは。

今までは自宅でもできる行動療法について説明してきましたが、

これからは薬物治療や手術療法などについて説明したいと思います。

行動療法は有効な治療法ですが、症状の強い方にはやはり病院での治療が必要になります。

 

薬物療法について

 

 

薬の説明をする前に、膀胱の機能について説明したいと思います。 

 

 膀胱の働きは、大きく分けて二つあります。

 ①おしっこを貯める

 ②おしっこを出す

 

おしっこを貯めている時、下の絵の右にある交感神経(こうかんしんけい)からノルアドレナリンが放出され、膀胱が緩められます。

おしっこを出す際、左にある副交感神経(ふくこうかんしんけい)からアセチルコリンが放出され、膀胱が縮み、おしっこが膀胱から出ます。

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これを踏まえて、今からの説明を読んでいただきたいと思います。

ちなみに、いろいろな薬メーカーから薬剤が出ていますが、薬の名前自体は書かず、大きなカテゴリーについて説明したいと思います。

 

なお、男性、女性によって若干治療方針は異なってきます。

一般的に切迫性尿失禁で使われる薬は、「尿が出にくくなる」副作用があります。

 

したがって、前立腺のある男性には切迫性尿失禁の薬だけでは使用しづらいのです。

→稀に全くおしっこがでなくなり、激しい腹痛が生じる「尿閉」状態になることもあるので、注意が必要です。

 

切迫性尿失禁に最も有効性が確認されている薬剤は、抗コリン剤β3アゴニストが挙げられます。

 

①抗コリン剤

切迫性尿失禁のある方は、おしっこを貯めないといけない時に、アセチルコリンによる膀胱収縮が生じるため、おしっこが漏れてしまいます。

 

 

抗コリン剤はアセチルコリンの作用を抑えることにより、膀胱の収縮を抑えます。

古くからある薬で、非常に有効性は高い薬剤です。

 

 

しかしながら、効果は高いものの、いくつか注意しなければならない副作用があります。

便秘、尿が出にくくなる、尿が出せなくなる、口が乾くなどが挙げられます。

最近では、認知機能(にんちきのう)にも悪い影響を与える可能性が言われいます!

 

高齢の方や、すでに認知機能障害を指摘されている方は、このお薬には少し注意が必要かもしれません。

 

②β(ベータ)3アゴニスト

抗コリン薬に対して、β3アゴニストは最近世にでてきた薬剤になります。

上述の通り、交感神経(こうかんしんけい)からノルアドレナリンが放出され

 ることにより、膀胱は緩むことができおしっこが貯められています。

 

 

この薬は、この交感神経の作用を強めることにより、頻尿や切迫性尿失禁を改善させます。

効果は抗コリン剤と同じくらいと考えてください(この薬のほうが若干弱いとするデータもありますが。)

 

 

この薬剤の一番の売りは、

抗コリン剤のような副作用が少ないことです!

したがって、最近ではこちらの薬剤をまず使用するような世の流れではあります。

 

以上の薬剤が主に切迫性尿失禁について主に使用される薬剤になります。

 

繰り返しになりますが、男性の患者さんには基本的にこれらの薬剤のみで使用することは、一般的ではありません。通常、α(アルファ)ブロッカーやPDE(ピーディーイー)5阻害薬などが最初に使用される薬剤になります。

このあたりの話はまた次の機会に説明しますね。

 

 

今回は、切迫性尿失禁の薬物治療についてまとめました。①抗コリン剤、②β3アゴニストが主に使用される薬剤ですが、効果は①≒②、副作用①>②と覚えていただければと思います。

 

 

本日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。